退職金の手取り計算(退職所得控除・短期退職手当等に対応)

執筆:元取締役の総務担当最終更新:2026年8月23日

退職金は、給与や年金とは切り離して課税される特別な所得です。 勤続年数に応じた大きな控除があり、さらに残った額の2分の1にしか課税されないため、 給与に比べて税負担がかなり軽くなっています。 このツールは、その控除と2分の1課税、住民税の分離課税まで含めて手取りを計算します。

短期退職手当等の300万円ルール・特定役員退職手当等に対応。住民税は分離課税で計算
確定拠出年金や企業年金を一時金で受け取る分も合算します
1か月でも端数があれば1年に切り上げられます

手取り 1,473.6万円(税額 264,337円)

退職所得控除11,500,000円勤続25年
退職所得の金額1,750,000円2分の1課税あり
所得税・復興税89,337円
住民税175,000円分離課税10%

区分:一般退職手当等(2分の1課税)

計算:(15,000,000円 − 退職所得控除 11,500,000円) ÷ 2 = 退職所得 1,750,000円。 ここに所得税の累進税率と住民税10%がかかります。 退職所得は他の所得と分けて課税されるため、給与や年金の額に影響されません。

⚠️「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に出さなかった場合、 退職金の一律 20.42%=3,063,000円 が源泉徴収されます。 正しい税額との差額は確定申告をしないと戻ってきません。

📌 あと1年勤めると退職所得控除が 700,000円 増え、手取りは 52,867円 増えます。

勤続年数と退職所得控除額

退職所得控除は勤続20年を境に、1年あたり40万円から70万円へ増えます。 「20年の壁」と呼ばれるのはこのためです。

勤続年数退職所得控除額この年数まで非課税になる退職金
5年2,000,000円200万円まで
10年4,000,000円400万円まで
15年6,000,000円600万円まで
20年8,000,000円800万円まで
21年8,700,000円870万円まで
25年11,500,000円1,150万円まで
30年15,000,000円1,500万円まで
35年18,500,000円1,850万円まで
38年20,600,000円2,060万円まで
40年22,000,000円2,200万円まで
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退職所得控除は勤続20年で計算式が変わります

退職所得控除の計算式は次のとおりです。

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(80万円未満のときは80万円)
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げます。20年1か月なら21年として計算するため、 あと1か月で年をまたぐという状況では、退職日を少しずらすだけで控除が70万円増えることがあります。 当ツールの「あと1年勤めると」の表示で、この効果を確認できます。

障害者になったことに直接起因して退職した場合は、上記に100万円が加算されます。

控除を超えた部分も、原則として半分にしか課税されません

退職金から退職所得控除を引いて残った金額は、その2分の1が退職所得になります。 たとえば勤続30年で退職金2,000万円なら、控除は1,500万円、 超過分500万円の半分である250万円が退職所得です。 この250万円に所得税の累進税率と住民税10%がかかります。

退職所得は他の所得と合算されない分離課税なので、 その年の給与がいくらであっても税率が上がることはありません。

勤続5年以下には特例があります

短期間で退職金を受け取る場合、2分の1課税が制限されます。

短期退職手当等(役員等以外で勤続5年以下)

令和4年1月1日以後に支払われる退職手当から、控除後の金額が300万円を超える部分には 2分の1課税が適用されなくなりました。300万円以下の部分は従来どおり2分の1です。 計算式は「150万円 + {収入金額 −(300万円 + 退職所得控除額)}」となります。

特定役員退職手当等(役員等で勤続5年以下)

取締役・執行役・監査役・議員・公務員などの役員等が勤続5年以下で退職手当を受け取る場合、2分の1課税は一切適用されません。300万円の枠もありません。 役員として就任してから5年以内の退職を考えている場合、この差は非常に大きくなります。

住民税の10%控除は廃止されています

退職所得に対する住民税は、市町村民税6%・道府県民税4%の合計10%が 支払時に特別徴収されます。かつては税額の10%を差し引く控除がありましたが、平成25年(2013年)1月1日以後に支払われる退職手当からは廃止されています。 古い解説記事にはまだ10%控除を前提にした計算が残っていることがあるため注意してください。

「退職所得の受給に関する申告書」は必ず出してください

この申告書を勤務先に提出していれば、会社が退職所得控除を織り込んだ正しい税額を 源泉徴収してくれるため、原則として確定申告は不要です。

提出しなかった場合、退職金の全額に対して一律20.42%が源泉徴収されます。 控除を一切考慮しない金額なので、多くの場合は払いすぎになります。 払いすぎた分は確定申告をすれば戻ってきますが、放置すると戻ってきません。 当ツールでは、申告書を出さなかった場合の源泉徴収額も併記しています。

令和8年度税制改正では、退職金課税の見直しはありませんでした

勤続20年超の70万円という区分について「見直しを検討する」という議論が続いていますが、令和8年度税制改正の大綱には退職所得課税の改正は盛り込まれていません。 令和8年分についても、上に書いた計算式がそのまま適用されます。

計算の前提

  • 同じ年に複数の退職手当を受け取る場合の調整は考慮していません
  • iDeCoや企業年金の一時金と退職金を近接した年に受け取る場合、退職所得控除の重複を避ける調整(勤続年数の通算)があります。当ツールは単独の退職金を前提としています
  • 住民税は100円未満切捨てで計算しています
  • 退職所得から控除しきれない所得控除がある場合の調整は含めていません
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出典・根拠

最終更新:2026年8月23日