生命保険料控除の計算(令和8年分対応)
生命保険料控除で実際に減る税金を計算します。 控除額と、戻ってくる金額は違います。 令和8年分だけの措置(23歳未満の扶養親族がいる場合、一般の生命保険料控除が4万円から6万円)にも対応していますが、 この上乗せは増える人と1円も増えない人に分かれます。その判定まで出します。
一般の生命保険料
死亡保険・学資保険・収入保障保険など。終身保険や定期保険もここです
介護医療保険料
医療保険・がん保険・介護保険など。平成24年以後の契約にしかない区分です
個人年金保険料
個人年金保険料税制適格特約が付いた個人年金保険だけが対象です
金額は保険会社から届く「生命保険料控除証明書」に書かれています。 証明書には「新制度」「旧制度」の区分と、区分ごとの申告額が印字されているので、 そのとおりに入れてください。 10月から11月にかけて届きます。
実際に減る税金 7,963円
| 区分 | 支払保険料 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 | 計算方法 |
|---|---|---|---|---|
| 一般の生命保険料 | 60,000円 | 35,000円 | 28,000円 | 新契約だけで計算 |
| 介護医療保険料 | 30,000円 | 25,000円 | 21,000円 | 新契約だけで計算 |
| 個人年金保険料 | 0円 | 0円 | 0円 | — |
| 合計 | 90,000円 | 60,000円 | 49,000円 | — |
所得税は年末調整または確定申告で戻り、住民税は翌年度(6月から)の税額が下がります。 今年払った保険料が住民税に反映されるのは来年の6月からです。
令和8年分の2万円上乗せは、誰に効いて誰に効かないか
令和8年分に限り、23歳未満の扶養親族がいる方は、 一般の生命保険料控除の限度額が4万円から6万円になります。 ここまでは多くの解説に書かれています。
書かれていないのは、3区分の合計適用限度額が12万円のまま据え置かれたことです。 財務省の大綱にも「一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の 合計適用限度額は12万円とする(現行と同じ。)」と明記されています。 一般の枠だけが広がっても、合計の天井は動いていません。
| 他の保険の加入状況 | 上乗せなし | 上乗せあり | 増える控除額 |
|---|---|---|---|
| 一般の生命保険だけに入っている | 40,000円 | 60,000円 | +20,000円 |
| 医療保険にも入っている(年2万円) | 60,000円 | 80,000円 | +20,000円 |
| 医療保険に十分入っている(年8万円以上) | 80,000円 | 100,000円 | +20,000円 |
| 医療保険が満額で、個人年金もそこそこ(年6万円) | 115,000円 | 120,000円 | +5,000円 |
| 医療保険と個人年金の両方が満額(各年8万円以上) | 120,000円 | 120,000円 | 0円 |
医療保険にも個人年金にも入っていない方は、まるまる2万円増えます。 一方で、医療保険と個人年金の両方を満額使っている方は1円も増えません。6万円+4万円+4万円=14万円が、12万円で切られるためです。 その中間もあります。医療保険が満額で個人年金が年6万円の方なら、 増えるのは2万円ではなく5,000円です。 つまりこの上乗せの恩恵は、一般の保険料をいくら払っているかではなく、他の2区分をどれだけ使っているかで決まります。
さらに、増えた2万円がそのまま戻るわけでもありません。 所得控除なので、減る税金は税率分だけです。 所得税率10%の方なら2万円×10%×1.021=2,042円。 所得税率20%の方でも4,084円です。 個人住民税には上乗せがないため、住民税は1円も減りません。
受けるには、申告書に子の氏名を書く必要があります
令和8年分の保険料控除申告書には、生命保険料控除のブロックの中に「☆年齢23歳未満の扶養親族」という欄が新しく設けられました。 国税庁の記載例には、こう書かれています。
年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生)の扶養親族を有する場合で一般の生命保険料 (新保険料等に限ります。)の金額があるときは、「☆年齢23歳未満の扶養親族」欄に、 その扶養親族の氏名、個人番号及び生年月日等を記載します
「新保険料等に限ります」が効いてきます。 一般の生命保険料が旧契約(平成23年12月31日以前の契約)しかない方は、 この欄を埋めても控除額は増えません。 旧契約だけで計算する場合の限度額は、もともと5万円で据え置きだからです。 上乗せが効くのは、新契約(平成24年1月1日以後)の一般生命保険料がある方だけです。 上の計算ツールは、この条件も込みで判定しています。
申告書の全体像と、そのほかの紙に何を書くかは年末調整でいくら戻る?(申告書の書き方)にまとめています。
控除額と、実際に戻る金額は違います
生命保険料控除は所得控除です。税額控除ではありません。 課税所得が減るだけなので、戻ってくるのは「控除額 × 税率」です。 しかも所得税の上限が120,000円なのに対し、 住民税の上限は70,000円で、金額が違います。
| 年収 | 所得税率 | 所得税が減る額 | 住民税が減る額 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 5% | 6,126円 | 7,000円 | 13,126円 |
| 400万円 | 5% | 6,126円 | 7,000円 | 13,126円 |
| 500万円 | 5% | 6,126円 | 7,000円 | 13,126円 |
| 600万円 | 10% | 12,252円 | 7,000円 | 19,252円 |
| 700万円 | 20% | 24,503円 | 7,000円 | 31,503円 |
| 800万円 | 20% | 24,504円 | 7,000円 | 31,504円 |
| 1000万円 | 20% | 24,504円 | 7,000円 | 31,504円 |
年間24万円(3区分で各8万円)の保険料を払って、減る税金はこの金額です。 節税を目的に保険に入ると、払う保険料のほうがはるかに大きくなります。 保険は必要な保障があるから入るものであって、 控除は「入るなら受けておく」程度のものと考えたほうが実態に合います。
表の金額が年収によってきれいな比例になっていないのは、 控除を引いたことで課税所得が税率の境目をまたぐ場合があるためです。 「控除額×税率」で計算している早見表とは、この部分で金額がずれます。 上のツールは境目をまたぐ場合もそのまま計算しています。
新契約と旧契約、合算しないほうが得なことがあります
一般の生命保険料と個人年金保険料は、新契約と旧契約の両方があるとき、どちらの計算方法を使うかを選べます。
- 旧契約だけで計算する(上限は所得税5万円・住民税3.5万円)
- 新契約と旧契約を合算して計算する(上限は所得税4万円・住民税2.8万円)
合算すると上限が下がるため、旧契約の保険料が大きいと合算しないほうが有利になります。 目安は旧契約の年間保険料が6万円を超えているかどうかです。 6万円を超えていれば旧契約だけで5万円近くまで取れるので、 新契約を足しても4万円で切られてしまい、かえって損をします。
保険会社から届いた控除証明書の金額を、何も考えずに全部申告書に書き写すと、 この選択を逃すことがあります。上のツールは両方を計算して有利なほうを表示します。
計算式(国税庁の表そのまま)
所得税・新契約(平成24年1月1日以後に契約)
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 10,000円 |
| 40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 20,000円 |
| 80,000円超 | 一律40,000円 |
所得税・新契約・23歳未満の扶養親族がいる場合(令和8年分限り)
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 30,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 30,000円超 60,000円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 15,000円 |
| 60,000円超 120,000円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 30,000円 |
| 120,000円超 | 一律60,000円 |
所得税・旧契約(平成23年12月31日以前に契約)
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 25,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 12,500円 |
| 50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 25,000円 |
| 100,000円超 | 一律50,000円 |
住民税・新契約(住民税)
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 12,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 12,000円超 32,000円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 6,000円 |
| 32,000円超 56,000円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 14,000円 |
| 56,000円超 | 一律28,000円 |
住民税・旧契約(住民税)
| 年間の支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 15,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 15,000円超 40,000円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 7,500円 |
| 40,000円超 70,000円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 17,500円 |
| 70,000円超 | 一律35,000円 |
控除額に1円未満の端数があるときは切り上げます。 支払保険料は、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた額です。 配当がある保険に入っている方は、証明書に記載された金額(差し引き後)をそのまま使ってください。
計算の前提(必ずお読みください)
- 令和8年分の基礎控除・給与所得控除で計算しています
- 収入は給与のみとし、年収の20%を賞与(年2回)として社会保険料を計算しています
- 実際に減る税額は、生命保険料控除以外の所得控除を社会保険料控除と基礎控除だけとして計算しています。扶養控除や住宅ローン控除があると税率が変わり、減る金額も変わります
- 個人年金保険料控除は「個人年金保険料税制適格特約」が付いた契約だけが対象です
- 住民税の控除は翌年度(6月から)の税額に反映されます
- 23歳未満の扶養親族の判定は、その年の12月31日の状況によります
よくある質問
生命保険料控除で最大12万円戻りますか?
戻りません。12万円は「控除額」の上限であって、戻ってくる金額ではありません。生命保険料控除は所得控除なので、課税所得が12万円減るだけです。実際に減る税金は、そこに税率を掛けた額です。所得税率5%の方なら12万円×5%×1.021=6,126円、住民税は控除額7万円×10%=7,000円で、合計13,126円にとどまります。所得税率が20%の方でも、所得税24,504円+住民税7,000円で31,504円です。所得税と住民税で控除額の上限が違う(12万円と7万円)点にも注意してください。
令和8年分から一般生命保険料控除が6万円になったと聞きました。誰が対象ですか?
23歳未満の扶養親族がいる方です。この方が新契約(平成24年1月1日以後に契約)の一般生命保険料を支払っている場合、一般の生命保険料控除の限度額が4万円から6万円になります。ただし令和8年分に限った措置で、令和9年分からは4万円に戻ります。そして重要な点が2つあります。1つは3区分の合計適用限度額が12万円のまま据え置かれたこと、もう1つは個人住民税には上乗せがなく2.8万円のままであることです。
23歳未満の子がいるのに、控除額が増えないのはなぜですか?
3区分の合計適用限度額12万円に当たっているためです。一般の枠が4万円から6万円に広がっても、介護医療保険料控除と個人年金保険料控除をそれぞれ満額(各4万円)使っていると、合計は6+4+4=14万円になり、12万円で切られます。結果として増える控除額は0円です。医療保険にも個人年金にも入っていない方なら、まるまる2万円増えます。上のツールは、あなたの場合に何円増えるかを表示します。
新契約と旧契約の両方があります。どう計算しますか?
一般の生命保険料と個人年金保険料については、「旧契約だけで計算する」か「新契約と旧契約を合算して計算する」かを選べます。合算すると上限が新契約の4万円になり、旧契約だけなら5万円まで使えます。このため旧契約の保険料が大きい場合は、新契約を申告しないほうが控除額が大きくなります。目安として、旧契約の年間保険料が6万円を超えていれば旧契約だけのほうが有利です。上のツールは両方を計算して有利なほうを自動で選び、どちらを選んだかを表示します。保険会社から届いた証明書の金額を機械的に全部足すと、この選択を逃して損をすることがあります。
新契約か旧契約かは、どこで分かりますか?
保険会社から10月〜11月に届く「生命保険料控除証明書」に印字されています。「新制度」「旧制度」あるいは「新契約」「旧契約」という表示と、適用制度ごとの申告額が分かれて書かれています。境目は平成23年(2011年)12月31日です。ただし平成23年以前に契約したものでも、平成24年1月1日以後に更新・特約の中途付加などをすると、その時点から契約全体が新制度の扱いになります。証明書の表示が正しいので、契約日の記憶ではなく証明書に従ってください。
2万円の上乗せを受けるには、申告書に何か書きますか?
令和8年分の保険料控除申告書には、生命保険料控除のブロックの中に「☆年齢23歳未満の扶養親族」という欄が新設されました。国税庁の記載例は「年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生)の扶養親族を有する場合で一般の生命保険料(新保険料等に限ります。)の金額があるときは、『☆年齢23歳未満の扶養親族』欄に、その扶養親族の氏名、個人番号及び生年月日等を記載します」としています。ここを空欄のまま出すと上乗せは受けられません。一方で、一般の生命保険料が旧契約(平成23年12月31日以前)しかない方は、この欄を埋めても控除額は増えません。旧契約だけで計算する場合の限度額は、もともと5万円のまま据え置かれているからです。なお国税庁が示している境目は「平成16年1月2日以後生」なので、判定は令和8年12月31日時点の年齢で行います。ここでいうのは税法上の「扶養親族」で、扶養控除の対象になっているかどうかは関係ありません。扶養控除は16歳以上が対象ですが、この上乗せは16歳未満の子でも数えられます。未就学の子がいる方も対象になるということです。条件は、生計を一にしていることと、その子の合計所得金額が62万円以下(給与収入なら136万円以下)であることです。
介護医療保険料控除はどの保険が対象ですか?
医療保険・がん保険・介護保険など、入院や通院の給付がある保険です。ただしこの区分は平成24年1月1日以後の契約にしかありません。平成23年以前に契約した医療保険の保険料は「旧契約の一般の生命保険料」として扱われます。古い医療保険を介護医療の欄に書いてしまうミスが多いので、証明書の区分表示を確認してください。
個人年金保険なら何でも対象になりますか?
なりません。「個人年金保険料税制適格特約」が付いている契約だけが対象です。この特約が付いていない個人年金保険や、変額個人年金保険の多くは、一般の生命保険料控除の扱いになります。証明書に「個人年金保険料」と印字されていれば対象です。適格特約は、年金受取人が契約者またはその配偶者であること、保険料の払込期間が10年以上あること、年金の受取開始が60歳以降で受取期間が10年以上あることなどが条件になっています。
共働きの場合、夫婦どちらで申告すると得ですか?
原則として、保険料を実際に負担している方が申告します。契約者の名義ではなく、誰の収入から払っているかで決まります。そのうえで、どちらでも申告できる保険料がある場合は、所得税率の高いほうで申告したほうが減る税金は大きくなります。ただし所得税率が同じなら、控除の枠を使い切っていないほうに寄せるのが有利です。片方が12万円の枠を使い切っていて、もう片方が0円なら、後者に回した分だけ世帯の税金は減ります。上のツールで2人分をそれぞれ計算して、合計が大きくなる配分を探してください。
年末調整で出し忘れました。どうすればいいですか?
確定申告で控除を受けられます。控除証明書と源泉徴収票を用意して、翌年の確定申告期間(2月16日〜3月15日ごろ)に申告してください。すでに期限を過ぎている場合でも、還付申告なら5年前の分までさかのぼって手続きできます。令和3年分までであれば今からでも間に合います。なお、年末調整の担当者に頼んで年内に訂正してもらえることもあるので、まずは勤務先に聞いてみるのが早いです。
出典・根拠
- 国税庁 No.1140「生命保険料控除」[令和8年4月1日現在法令等]
- 国税庁「《記載例》令和8年分保険料控除申告書」(PDF。「☆年齢23歳未満の扶養親族」欄の記載方法)
- 国税庁 No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」
- 財務省「令和7年度税制改正の大綱」(23歳未満の扶養親族がいる場合の限度額引上げ、合計適用限度額12万円の据え置き)
- 東大阪市「生命保険料控除制度」(個人住民税の計算式と限度額)
最終更新:2026年9月25日