年末調整でいくら戻る?(令和8年分)
年末調整の申告書を出すと、控除ごとにいくら税金が減るかを計算します。 戻ってくるのは控除額そのものではなく、そこに税率を掛けた分です。 所得税の還付と、翌年6月から下がる住民税は分けて表示します。
保険料控除申告書に書くもの
生命保険料(控除証明書に書かれた申告額を、新旧の区分どおりに入れてください)
そのほかに申告できるもの
年末調整で戻る所得税 3,000円
| 申告するもの | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 | 戻る所得税 | 下がる住民税 |
|---|---|---|---|---|
| 生命保険料控除 所得税は最高12万円、住民税は最高7万円。上限が違うので金額も分けて計算します | 60,000円 | 49,000円 | 3,000円 | 4,900円 |
⚠️ ここで出しているのは「申告書を出すことで減る税額」であって、 12月の給与に上乗せされる還付金そのものではありません。 実際の還付額は「その年に源泉徴収された税額の合計 − 年末調整で確定した年税額」で決まり、 賞与の回数や扶養の異動によっても変わります。 12月の給与が確定するまで正確な金額は出せません。 ただし、上の金額はその差額の大部分を占めます。
📌 住民税は「戻って」きません。 今年の所得に対する住民税は翌年6月から徴収されるので、 そのときの税額が4,900円下がるという形で効きます。 手元にお金が入るタイミングが所得税とはまったく違います。
複数の控除がある場合、所得税は超過累進なので、 どの控除を先に数えるかで各行の内訳が変わります(合計は変わりません)。 この表は申告書に書く順に近い並びで積み上げています。
なぜ年末調整でお金が戻るのか
毎月の給与から引かれている所得税は、源泉徴収税額表の甲欄という表で決まっています。 この表が見ているのは「その月の社会保険料控除後の給与の額」と「扶養親族等の数」の2つだけです。
つまり、基礎控除・給与所得控除・配偶者控除・扶養控除に相当する分は すでに毎月の天引きに織り込まれていますが、生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除は一切入っていません。申告書を出すまで、会社はその金額を知りようがないからです。
年末調整で戻るお金の大部分は、この「毎月の天引きが織り込んでいなかった控除 × 税率」です。 上のツールが出しているのは、まさにこの金額です。
このほかにも、天引きと実際の年税額がずれる要因があります。 税額表は「その月の給与が1年間続く」という前提で作られているので、 残業代や手当で月ごとに給与が動くと年間の合計がずれます。 賞与の所得税も前月の給与から率を決める仕組みなので、実際の年税額とは差が出ます。 このため、控除を何も申告しなくても数千円が戻る(あるいは追加徴収される)ことがあります。
控除1万円あたり、いくら戻るか
「この保険の証明書、出す意味があるのか」を判断するには、 控除1万円あたりの効き目が分かれば十分です。 手元の控除証明書の金額を掛ければ、自分の答えが出ます。
| 年収 | 所得税の税率 | 戻る所得税 12月または1月 | 下がる住民税 翌年6月から | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 5% | 510円 | 1,000円 | 1,510円 |
| 400万円 | 5% | 510円 | 1,000円 | 1,510円 |
| 500万円 | 5% | 510円 | 1,000円 | 1,510円 |
| 600万円 | 10% | 1,020円 | 1,000円 | 2,020円 |
| 700万円 | 20% | 2,041円 | 1,000円 | 3,041円 |
| 800万円 | 20% | 2,041円 | 1,000円 | 3,041円 |
| 1000万円 | 20% | 2,041円 | 1,000円 | 3,041円 |
| 1200万円 | 23% | 2,348円 | 1,000円 | 3,348円 |
同じ控除でも、年収によって戻る額が違います。 所得税率5%の方は控除1万円につき1,510円、 20%の方は3,041円で、2.0倍の差があります。
住民税の10%は年収にかかわらず一定です。 年収が低い方ほど、戻る額に占める住民税の割合が大きくなります。 年収300万円の方なら、効果の3分の2が翌年6月からの住民税で、 12月に手元に戻るのは3分の1です。 「思ったより戻らなかった」と感じる原因の多くがこれです。
年末調整でできること・できないこと
年末調整で申告できない控除が3つあります。 これらは確定申告をしないと受けられません。
| 控除 | 年末調整 | 補足 |
|---|---|---|
| 生命保険料控除 | できる | 所得税は最高12万円、住民税は最高7万円 |
| 地震保険料控除 | できる | 所得税は最高5万円、住民税は最高2.5万円 |
| 社会保険料控除(自分で払った分) | できる | 国民年金・国民健康保険、家族の分を払った場合も |
| iDeCo・小規模企業共済等掛金控除 | できる | 掛金の全額。上限がありません |
| 配偶者控除・配偶者特別控除 | できる | 毎月の源泉徴収にも一部は織り込まれています |
| 扶養控除・特定親族特別控除 | できる | 同上。異動があれば年末調整で精算されます |
| 住宅ローン控除(2年目以降) | できる | 1年目は確定申告が必要です |
| 医療費控除 | できない | 確定申告が必要。セルフメディケーション税制も同じ |
| ふるさと納税(寄附金控除) | できない | ワンストップ特例を使えば申告そのものが不要に |
| 雑損控除 | できない | 災害・盗難などによる損失。確定申告が必要 |
| 住宅ローン控除(1年目) | できない | 確定申告が必要。必要書類が多いので早めの準備を |
今年の年末調整は、例年より戻ります
令和8年分に限った話です。国税庁は基礎控除の引上げについて、こう案内しています。
これらの改正は、原則として、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の 所得税について適用されます。このため、令和8年12月に行う年末調整など、 令和8年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます (令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じません。)。
読み替えると、こういうことです。今年の1月から11月まで毎月引かれてきた所得税は、令和7年分の控除額のまま 計算されています。基礎控除が104万円に、給与所得控除の最低保障が74万円に上がったぶんは、 1円も反映されていません。その差は12月の年末調整でまとめて精算されます。
生命保険料控除などの通常の還付とは別枠です。 今年はその上に、この精算が乗ります。
| 年収 | 基礎控除 令和7年分 → 令和8年分 | 控除の増加 | 12月に精算される額 |
|---|---|---|---|
| 200万円 | 95万円 → 104万円 | 150,000円 | 3,500円 |
| 300万円 | 88万円 → 104万円 | 160,000円 | 8,200円 |
| 400万円 | 88万円 → 104万円 | 160,000円 | 8,100円 |
| 500万円 | 68万円 → 104万円 | 360,000円 | 28,900円 |
| 600万円 | 68万円 → 104万円 | 360,000円 | 36,800円 |
| 700万円 | 63万円 → 67万円 | 40,000円 | 8,200円 |
| 800万円 | 63万円 → 67万円 | 40,000円 | 8,200円 |
| 1,000万円 | 58万円 → 62万円 | 40,000円 | 8,100円 |
年収500万円〜600万円の方が突出しています。ほかの年収帯が8,000円前後なのに対して、この帯だけ28,900円・36,800円です。 4倍以上の差がつきます。
理由は令和7年分の基礎控除の刻みにあります。令和7年分は合計所得によって 95万円・88万円・68万円・63万円・58万円と5段階に分かれていました。 このうち「336万円超489万円以下 → 68万円」の帯だけが、令和8年分で一律104万円になり、 一気に36万円増えるからです。合計所得336万〜489万円は、給与収入でいうと おおよそ475万〜666万円にあたります。
年収500万円の方はもう一段効きます。控除が36万円増えることで 課税所得が195万円を下回り、所得税の税率が10%から5%に下がります。 このため戻る額は「36万円×5%」より大きくなります。 年収200万円の方は、令和8年分の所得税そのものが0円になります。
住民税はこの表に入れていません。住民税の基礎控除43万円は据え置きで、 今回の改正の対象外だからです。翌年6月からの住民税は下がりません。
この表は、1月から11月までの源泉徴収が令和7年分の控除額どおりに行われたものとして、 令和7年分ルールの年税額と令和8年分ルールの年税額の差を出しています。 実際の源泉徴収税額表は年税額そのものではなく月ごとの概算なので、 個々人の精算額はこれと数百円ずれます。金額の規模をつかむための表です。 扶養親族がいる方、賞与がある方は金額が変わります。
令和8年分で変わったこと
基礎控除が104万円、給与所得控除の最低保障が74万円に
合計所得489万円以下の方の基礎控除が104万円になりました (本則62万円+令和8年・9年分限りの特例42万円)。 給与所得控除の最低保障額も74万円になり、 この2つを足した給与収入178万円までは所得税がかかりません。
ただし住民税の基礎控除43万円と非課税限度額45万円は据え置きです。 住民税は給与収入119万円からかかります。 「178万円まで税金がかからない」という説明は、住民税を落としています。
生命保険料控除に、令和8年分だけの上乗せ
23歳未満の扶養親族がいる方は、一般の生命保険料控除の限度額が4万円から6万円になります。 令和8年分に限った措置で、令和9年分からは4万円に戻ります。
ただし3区分(一般・介護医療・個人年金)の合計適用限度額12万円は据え置きです。 医療保険と個人年金をすでに満額使っている方は、 6万円+4万円+4万円=14万円が12万円で切られるため、増える控除額は0円になります。 さらに個人住民税には上乗せがありません。
保険料控除申告書に「☆年齢23歳未満の扶養親族」欄ができました
この上乗せを受けるには、申告書に子の氏名を書く必要があります。 令和8年分の保険料控除申告書には、生命保険料控除のブロックの中に 「☆年齢23歳未満の扶養親族」という欄が新しく設けられました。 国税庁の記載例には、こう書かれています。
年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生)の扶養親族を有する場合で一般の生命保険料 (新保険料等に限ります。)の金額があるときは、「☆年齢23歳未満の扶養親族」欄に、 その扶養親族の氏名、個人番号及び生年月日等を記載します
読み落としやすいのが「新保険料等に限ります」のところです。 一般の生命保険料が旧契約(平成23年12月31日以前の契約)しかない方は、 この欄を埋めても控除額は増えません。 旧契約だけの場合の限度額は、もともと5万円で据え置きだからです。 上乗せが効くのは、新契約(平成24年1月1日以後)の一般生命保険料がある方だけです。
どの紙に何を書くか(令和8年分の様式)
令和8年分の様式と記載例は、国税庁から公開済みです。 従業員が勤務先に出す紙は、次の3枚(住宅ローン控除の2年目以降は4枚)です。 正式名称が長いので、配られた用紙の右上にある年分表示と見比べてください。
| 申告書(正式名称) | これで受けられる控除 | 証明書の添付 |
|---|---|---|
| 令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養控除、障害者控除、寡婦・ひとり親控除、勤労学生控除 | 原則不要 |
| 令和8年分 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除 | 原則不要 |
| 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除(iDeCo) | 必要(保険会社・国民年金基金連合会などから届く控除証明書) |
| 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 兼 住宅借入金等特別控除計算明細書 | 住宅ローン控除(2年目以降。1年目は確定申告) | 必要(税務署から届く証明書と、金融機関の年末残高等証明書) |
2枚目の名前が長いのは、4つの申告書が1枚にまとまっているからです。 基礎控除は年収に関係なく全員が書きます。所得が確定しないと控除額が決まらないので、 「今年の給与収入の見込額」を自分で書く欄があります。
同時に配られる「令和9年分」の扶養控除等申告書は、簡易な様式で出せます
年末調整のときは、令和8年分の3枚に加えて、令和9年分の扶養控除等申告書も 一緒に配られます。来年1月からの源泉徴収に使う紙なので、年分が1つ先です。
この令和9年分から、「簡易な扶養控除等申告書」が使えるようになりました。 国税庁のFAQは、対象を次のように定めています。
給与等の支払者に提出しようとする扶養控除等申告書に記載すべき事項の全てが、 その給与等の支払者に前年に提出した扶養控除等申告書に記載した内容から異動がない場合
この場合は、本人の氏名・住所(居所)・個人番号を書いたうえで、前年に提出した扶養控除等申告書に記載した事項から異動がない旨を余白に記載すれば足ります。扶養親族の氏名や生年月日を書き写す必要がありません。 結婚・出産・子の就職・同居の開始や解消など、去年から1つでも変わっている方は、 これまでどおり全部書きます。
ネット上には令和7年分以前の様式で書かれた記入例が多く残っています。 令和8年分では保険料控除申告書に23歳未満の扶養親族の欄が増えているので、 古い記入例と見比べると欄がずれます。 勤務先から配られた用紙の年分表示を必ず確認してください。
計算の前提(必ずお読みください)
- 令和8年分の基礎控除・給与所得控除で計算しています
- 出しているのは「申告書を出すことで減る税額」であって、 12月の給与に上乗せされる還付金そのものではありません
- 収入は給与のみとし、社会保険料は協会けんぽ東京支部の料率で計算しています
- 複数の控除がある場合、所得税は超過累進なので、どの控除を先に数えるかで各行の内訳が変わります(合計は変わりません)
- 地震保険料控除は、旧長期損害保険料の経過措置を扱っていません。 平成18年12月31日までに契約した長期の損害保険がある方は、金額が変わります
- 住民税は東京都特別区など1級地の非課税限度額で判定しています
よくある質問
年末調整でいくら戻ってきますか?
正確な金額は12月の給与が確定するまで出せません。還付額は「その年に源泉徴収された税額の合計 − 年末調整で確定した年税額」で決まり、賞与の回数や扶養の異動によっても変わるためです。ただし還付額の大部分を占めるのは「毎月の源泉徴収が織り込んでいなかった控除 × 税率」で、こちらは計算できます。上のツールはその金額を控除ごとに出します。生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCo・住宅ローン控除は、毎月の給与から引かれる源泉徴収税額に一切反映されていません。だから年末調整で申告して初めて戻ってきます。
なぜ毎月多めに引かれているのですか?
毎月の源泉徴収は「源泉徴収税額表」の甲欄で決まります。この表は、その月の社会保険料控除後の給与の額と、扶養親族等の数だけで税額を決める仕組みです。基礎控除・給与所得控除・配偶者控除・扶養控除に相当する分はすでに織り込まれていますが、生命保険料控除や地震保険料控除は入っていません。申告書を出すまで会社はその金額を知りようがないからです。さらに、税額表は「その月の給与が1年間続く」という前提で作られているため、月ごとの給与に増減があると年間の合計がずれます。賞与の税額も前月の給与から率を決めるので、実際の年税額とは差が出ます。この差を12月にまとめて精算するのが年末調整です。
控除証明書を出すと、いくら戻りますか?
控除額に税率を掛けた分です。所得税の税率が5%の方なら、控除1万円につき約510円。20%の方なら約2,042円です。これに住民税の10%(控除1万円につき1,000円)が加わります。つまり同じ生命保険料控除でも、年収によって戻る額が2倍以上違います。よくある誤解は「生命保険料控除は最大12万円だから12万円戻る」というものですが、12万円は控除額であって戻る金額ではありません。上の早見表で、自分の年収なら1万円あたりいくら戻るかを確認して、手元の証明書の金額を掛けてみてください。
住民税はいつ戻ってきますか?
住民税は戻ってきません。今年の所得に対する住民税は翌年6月から1年かけて徴収されるので、そのときの税額が下がるという形で効きます。所得税は12月(または1月)の給与に上乗せされて戻りますが、住民税は来年6月以降の給与から引かれる額が毎月少しずつ減るだけです。効果の総額は同じでも、手元にお金が入るタイミングがまったく違います。上のツールでは、この2つを分けて表示しています。
令和8年分の年末調整で変わったことはありますか?
大きく3つあります。1つ目は基礎控除が104万円になったことです(合計所得489万円以下の場合。令和8年・9年分限りの特例を含みます)。2つ目は給与所得控除の最低保障額が74万円になったこと。この2つで、所得税がかかり始める給与収入が178万円になりました。3つ目が生命保険料控除で、23歳未満の扶養親族がいる方は一般の生命保険料控除の限度額が4万円から6万円になります。ただしこれは令和8年分に限った措置で、3区分の合計12万円は据え置きです。介護医療保険料控除と個人年金保険料控除をすでに満額使っている方は、上乗せがあっても控除額は1円も増えません。なお令和8年分の様式は国税庁から公開済みで、保険料控除申告書には「☆年齢23歳未満の扶養親族」欄が新設されました。この欄に子の氏名・個人番号・生年月日等を書かないと上乗せは受けられません。ただし国税庁の記載例が「一般の生命保険料(新保険料等に限ります。)の金額があるとき」と限定しているとおり、一般の生命保険料が旧契約(平成23年12月31日以前)しかない方は、この欄を埋めても控除額は増えません。
年末調整では何枚の紙を出しますか?
令和8年分として出すのは3枚です。1枚目が「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、2枚目が「令和8年分 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」、3枚目が「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」です。住宅ローン控除の2年目以降の方は、これに「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 兼 住宅借入金等特別控除計算明細書」が加わって4枚になります。証明書の添付が要るのは3枚目と4枚目だけで、1枚目と2枚目は原則不要です。さらにこれとは別に、来年1月からの源泉徴収に使う「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」も同時に配られます。年分が1つ先なので、机の上で2枚の扶養控除等申告書が並ぶことになります。取り違えないよう、用紙の右上の年分表示を確認してください。
扶養控除等申告書は、去年と同じなら簡単に書けると聞きました
令和9年分から「簡易な扶養控除等申告書」が使えます。国税庁のFAQは、対象を「給与等の支払者に提出しようとする扶養控除等申告書に記載すべき事項の全てが、その給与等の支払者に前年に提出した扶養控除等申告書に記載した内容から異動がない場合」としています。この場合は、本人の氏名・住所(居所)・個人番号を書いたうえで、前年に提出した扶養控除等申告書に記載した事項から異動がない旨を余白に記載すれば足ります。扶養親族の氏名・個人番号・生年月日を書き写す必要がありません。ただし「記載すべき事項の全て」が同じであることが条件です。結婚、出産、子どもの就職、親との同居の開始や解消、扶養親族の所得の増減で扶養から外れたなど、1つでも変わっていれば従来どおり全部書きます。なお令和8年分(今年の年末調整の対象年分)の扶養控除等申告書には、この簡易な様式はありません。
出し忘れると、もう戻ってきませんか?
確定申告をすれば戻ります。翌年の確定申告期間(2月16日〜3月15日ごろ)に、控除証明書と源泉徴収票を持って申告してください。還付申告であれば期限を過ぎても5年前の分までさかのぼれるので、去年や一昨年の出し忘れも間に合います。また、勤務先が年末調整の計算を終える前なら、担当者に言って訂正してもらえることもあります。まずは勤務先に聞いてみるのがいちばん早いです。
医療費控除やふるさと納税も年末調整でできますか?
できません。医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税)・雑損控除の3つは、年末調整の対象外で確定申告が必要です。ふるさと納税については、寄附先が5自治体以内で確定申告をしない場合に限り、ワンストップ特例を使えば申告不要になります。ただし医療費控除や住宅ローン控除の初年度で確定申告をすると、提出済みのワンストップ特例は無効になります。その場合は寄附金受領証明書を添えて、確定申告のほうにふるさと納税も含めてください。ここを忘れると控除が一切受けられません。
住宅ローン控除は年末調整でできますか?
2年目以降はできます。1年目は必ず確定申告が必要です。2年目以降は、税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に出します。住宅ローン控除は所得控除ではなく税額控除なので、他の控除をすべて引いたあとの税額から直接差し引かれます。このため、iDeCoなどで課税所得を下げすぎると、住宅ローン控除を引ききれずに捨ててしまうことがあります。上のツールは、引ききれない額が出た場合に警告を表示します。
共働きです。子どもの扶養はどちらに付けると得ですか?
所得税率の高いほうに付けたほうが、世帯の税金は小さくなります。扶養控除は所得控除なので、同じ控除額でも税率の高い人のほうが減る税額が大きくなるためです。ただし例外があります。片方が住宅ローン控除で所得税をすでにゼロ近くまで減らしている場合、そちらに扶養を付けても引く税金がありません。この場合はもう片方に付けたほうが世帯では得になります。また、自治体によっては住民税の非課税限度額の判定に扶養の人数が効くので、収入が低いほうの非課税判定が変わることもあります。
出典・根拠
- 国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」
- 国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」(令和8年分・令和9年分の様式と記載例)
- 国税庁「《記載例》令和8年分保険料控除申告書」(PDF。「☆年齢23歳未満の扶養親族」欄の記載方法)
- 国税庁「簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)」(PDF)
- 国税庁 No.1140「生命保険料控除」[令和8年4月1日現在法令等]
- 国税庁 No.1145「地震保険料控除」
- 国税庁 No.1199「基礎控除」
- 中央区「生命保険料控除・地震保険料控除」(個人住民税の計算式と限度額)
最終更新:2026年9月25日